主張

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【2024.8月号】今次改定歯科における評価できる点

はじめに
 今次改定歯科の評価は、施設基準が再編により複雑化・関連研修内容の追加により煩雑化、ICTを用いた新設項目増加により対応出来ない医療機関が取り残される懸念、高額な医療器機導入が条件の新設項目の増加、多くの分野での多数の点数変更、これは医科にも共通するが、疾病治療が目的のはずの診療報酬に職員の賃上げという異質な「ベースアップ評価料」の新設、改定実施の2カ月後倒しの6月実施など今までにない特異な改定であった。

歯科改定で評価できる点①
 今回、訪問診療に「複数名訪問歯科衛生指導加算」が訪問歯科衛生指導料(訪衛指)の加算として新設された。これは居宅だけの加算であるが、前回の訪問時の状況から単独の歯科衛生士の訪問では困難であろう「患者の暴力行為や著しい迷惑行為や器物損壊行為などが認められる対象患者」の場合に複数の歯科衛生士の訪問を評価するものである。「前回の訪問時の状況から」という前提条件から2回目以降という初回が対象外という問題点はあるが、患者からのハラスメント対策として評価ができる。

歯科改定で評価できる点②
 4月12日に発出された疑義解釈その2の問13で「歯科衛生実施指導料(実施指)や訪問歯科衛生指導料(訪衛指)において患者に提供する文書への当該指導を行った歯科衛生士の氏名記載においてカスタマーハラスメント対策から名字のみの記載は可」が明記された。個人特定を困難にさせる意味でフルネームから名字も可とする対応も評価ができる。

さいごに
 上記の2点は些細な新設項目や対応であるかもしれないが、昨今の患者ハラスメントの増加を考えれば今までに無いこのような対応は評価できる。それと同時に歯科衛生士が安心してストレス無く働ける環境を構築のためにも患者ハラスメントを根絶する対策も求められる。