主張

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【2020.5月号】新型コロナ感染症蔓延の中でも地域医療を守ろう

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は国内でも市中感染が避けられない状況に入ったとみられる。この間の経過をみると、諸外国と比較したとき、政府の対応の拙さを指摘する声も日増しに高まっている。だが問題はこれからだ。
 国民の間で不顕性感染が広がり、一定水準の抗体陽性率になるまで、緩やかな感染が続くであろう。こうした状況では、開業医は医業を続けるために、自らと職員を可能な限り感染から守る手段を講じなくてはならない。
 院内感染対策講習会でも改めて強調されたように、まずは標準予防策の厳守であるが、COVID-19はインフルエンザ以上に手強い敵である。少しの油断もないように接触感染の防止への職員への教育と徹底が求められている。
 会員アンケートに基づき、県・政令市に対し、協会として医療機関への医療用マスクやアルコール消毒剤の優先提供を求めたが、実態はどうだろうか。
 各地でPCR検査に対応できる医療機関も増えて、感染の広がりの把握は以前より容易になってきたが、それでも安心できない。防護衣までは至らなくても、サージカルマスクおよびフェイスシールドまたは患者に不快感を起こさない同等の飛沫防護策、さらに接触感染防護策を講じておくことが肝要である。仮にPCR陽性者が院内に訪れていたとしても、院内感染防護がきちんとしていれば休業しなくてもいいはずである。もちろん関係者には優先してPCR検査が受けられるよう配慮がされなければならない。
 緊急的措置としての電話再診と処方箋発行体制も、患者の要望もあり、整備しておきたい。厚労省はこの対応を「遠隔診療」の普及につなげたいだろうが、そのことと緊急時限的措置とは別問題であることは強調しておきたい。
 開業保険医としては、健康診断の自粛を含むこの時期の受診減少による減収にも対応しなければならない。仕事が減り、収入が減ったからといってスタッフの給与を勝手に減らすことはできるだけ避けなければならない。
 このためには保険医団体の全国組織である保団連の運動に呼応して、開業医療体制を確保するために、減収への補償を国に要求していきたい。この点では他業種の中小企業団体の要求と全く同じことである。今後の運動への会員のご協力をお願いしたい。
 この時期にCOVID-19感染が疑われる発熱患者等の受診に制限を加えるような制度は一時休止すべきである。この点で国保資格証明書は保険証と同じ負担割合で使えなくてはならないことを要求する。
 COVID-19のさらなる流行に到ることがあっても、決して悲惨な「医療崩壊」にならないよう、開業医としての決意をもって、地域医療、在宅医療を守ろうではないか。