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【2017.12月号】受診時の患者負担増という保険給付削減に断固反対する

 今、次期診療報酬を巡って中医協での論議が続いている。財務省は社会保障費の給付者増による自然増加分を、社会保障支出の中のどこかで穴埋めしようとして、診療報酬と介護報酬の切り下げに狙いを絞っている。6300億円規模の自然増を5000億円以下に引き下げるというものである。
 そこで財務省筋からは診療報酬の2.5%マイナス改定案が出ている。診療報酬では、高額な薬価を引き下げるだけでなく、先の医療経済実態調査が利用されて、初再診料などの技術料本体もマイナスになる可能性がある。介護報酬も利益率調査から通所介護や訪問介護を中心に、2.27%マイナス改定だった3年前に近い引き下げが検討されていると伝えられている。
 診療報酬や介護報酬の切り下げで打撃を受けるのは医療機関や介護事業者である。では患者、利用者側からみれば、引き下げ分だけ負担が減っていいかというとそうはいかない。
 まず、後期高齢者医療の75歳以上の窓口負担割合を、2019年度以降75歳以上になる人から順次2割にしようという案が検討されている。これは2014年から70歳以上を2割負担としたやり方をそのまま延長する案である。
 さらには、薬剤給付での巧妙な保険外しである。最近話題となった保湿剤の保険外しの問題だが、乾皮症などのためワセリンを含む保湿剤を単独で処方する患者は決して少なくない。下手に高齢者に抗ヒスタミン剤など使おうものならせん妄を生じる心配があるから単独処方となる。これを事もあろうに被保険者の立場である健保連が言い出した。先例でうがい薬の単独処方外しがあったが、保湿剤の影響はさらに大きいであろう。こうした動きは改定ごとに積み重ねられてきており、湿布薬なども前回改定の枚数制限から、単独処方そのものの制限になる可能性も否定できない。
 他にも財務省はかかりつけ医以外の受診時定額負担の導入、薬剤にかかる自己負担の引き上げなども諦めていないようであり、先が思いやられる。