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【2016.2月号】実態はマイナス改定といわなければならない

 1月21日、次期診療報酬の改定率が決まった。厚労省は「本体」プラス0.49%、薬価がマイナス1.22%、材料価格マイナス0.11%で、総体ではマイナス0.84%というアナウンスをした。
 ところがこれ以外に薬価の市場拡大再算定による引き下げと、年間販売額が極めて大きい品目(C型肝炎適用のソバルディやハーボニーなど)の特例的引き下げで、国費ベースで合計マイナス500億円の引き下げになるので、実際はマイナス1.31%ということになると保団連は見ている。
 先発品の薬価が下がることは喜ばしいが、なぜ薬価が下がったかといえば医療機関や薬局の購入努力により実勢価格が下がったことによる。そうであるからこそ、薬剤購入で下がった部分は本体(技術料)に還元して医療機関の経営安定にまわすという長年の慣行があったのが、前回改定から無視されたのである。
 外来診療で薬剤処方を院外処方箋にしていると実感がわかないが、病院では事情が違ってくる。入院患者向けに院内使用の医薬品や医材料の使用量の比重が大きいため、薬価の切り下げは病院収入の切り下げになる。なぜなら購入価格は薬価が下がるほどは下がらないからである。
 日医や日歯の会長は本体引き上げを評価し、「医療の崩壊が起きない対応」とか「与党にお礼申し上げたい」という肯定的談話を出しているが、日本病院会や四病院団体協議会は「ネットでマイナス改定はきわめて残念、厳しい結果にとどまった」としており、この落差は医療界にとって深刻である。
 しかもなぜ本体プラス0.49%なのかといえば、0.5%超えは認められないという財務省の枠を崩せなかったためであり、社会保障や医療体制の充実を望む医療団体としては怒りを込めて抗議すべき水準なのである。
 今回の改定による個別点数の内容はまだ明らかではないが、漏れ出てくる情報では湿布薬の枚数制限、疾患別リハビリテーションの算定起算日の厳格化、維持期リハビリの点数下げ、軽症な在宅患者の訪問診療点数下げなどが予想される。
 今回の新点数改定は入院病床の維持や、地域包括ケアの充実に寄与する点数と評価されるものではない。
 声を大にして、今回の点数改定はマイナス改定なのであると主張しなければならない。その上低所得者の増加で受診抑制が働き、患者数減少も予測される中、次期改定への医療界の戦いがまた始まったのである。