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【2014.10月号】医療界はゼロ税率で一致して消費税アップに対応すべきである

 安倍首相周辺では、消費税率の本年4月の8%への引き上げに続いて、来年10月からの10%への引き上げに年内に踏み切るかどうか検討中といわれている。
 報道では、最近の景気動向、とくに7~9月期のGDPの動きを見極めて決断するのではというが、政府与党内での引き上げ慎重論はあまり出ていない。
 政府与党が見極めているのは、景気ではなく世論の動向である。家計消費の落ち込みを反映して景気が後退していることは内閣府の公表する4~6月期のマイナス成長で明らかであり、それが逆転する見通しがあるはずもない。
 アベノミクスといわれる景気引き上げ戦略が実態と違っていることに多くの国民が気がついて、内閣支持率の低下が始まったという見方もある。
 こうした状況の中で、9月17日、日医が消費税問題での医療界の要望をまとめたが、全く期待外れの内容である。
 その内容とは「10%時のできる限り早い段階で、速やかに現行制度から軽減税率等による課税取引に転換すること等」というものである。さらに、10%引き上げ時に抜本解決が図られない場合は、「医療機関などの設備投資部分にかかる消費税の仕入れ税額の還付措置の導入」を求めている。
 これは従来の社会保険診療報酬は非課税という原則免税の現制度を崩し、事実上、課税取引という商業取引に移行させるものであり、財務省の思うつぼである。
 ご承知のとおり保団連は一貫してゼロ税率を主張し、薬剤や医材料はもちろん医療設備や運営経費での消費税負担分を全額還付することを求めている。だから消費税影響部分を診療報酬に上乗せしてきた、すなわち患者と保険者へ負担させてきた現行の方式を批判してきたのである。
 この考えは何も保団連の専売特許ではなく、日医もこれまで主張してきたものであり、日本薬剤師会も求めているものである。高まる消費税負担に音をあげた病院団体の軽減税率論や、日歯の非課税申告還付方式は、ゼロ税率の実現性への疑問から出されてきた意見であろうが、結局患者負担を容認する、医療機関の「損税」を受け入れるものである。
 ここは医療界としてゼロ税率実現を一致した目標とし、その実現までの間、消費税を患者に転嫁することのない還付方式を求めていくことができないだろうか。
 とにかく保険診療の中の「隠れ消費税」を財務省に吸い取られてはならない。法人税軽減の財源に、増大する国民医療費の中に巧妙に仕込まれた消費税財源をあてようという官僚のずるがしこさに、医療界は一致して対応しなければならない。
 また、この問題では国民の理解を求められるはずである。なぜなら、ゼロ税率の要求そのものが、医療費の自己負担の中に仕込まれた消費税を軽減し、保険料にも跳ね返る消費税を軽減することが国民の直接の利益になるのだから。