主張

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【2013.7月号】参議院選挙で何が問われるか

 いよいよ参議院選挙が始まった。昨年12月の総選挙で絶対多数を得た自民党が、参議院の全議席で過半数を抑えるために全力を挙げるといっている。
 もしも自民党のもくろみ通りの選挙結果になった場合、あるいは自民公明2党が安定多数の議席になった場合に、国会運営は大変楽になるであろう。一方、重要な法案の成立に時間をかけることもなく、与党の思いのままになる結果になり、政党の公約がすべて支持を得ているとは言い難い状況の中では、国民世論と政治の方向が乖離する望ましくない状況になるのではないかと危惧する。
 たとえばTPPの問題がある。この2月末には、「自民党TPP参加の即時撤回を求める会」には184人の衆議院議員と56人の参議院議員、合わせて240人の国会議員が加盟していた。この中には高市早苗党政調会長や、小野寺五典防衛相をはじめ副大臣や政務官クラスの有力議員も少なくない。特徴的なことだが、東京ブロックでは比例選出の衆議院議員1名だけであり、地方選出の議員の多数がTPPには反対の立場をとっているのである。
 にもかかわらず、自民党政権そのものはTPP参加に走っているのであり、参議院選挙の公約になると公表されており、二枚舌を使い分ける議員集団と言われても仕方がないであろう。
 わが国では、前民主党政権でさえもそうであったように、投票権者である国民の目をくらませて、公約に謳っていない条約や協定を結ぼうというのが与党の伝統的政治手法かのようである。国民に対してきちんとした説明責任を果たしておらず、いつもあいまいな態度であることが日本の政治の体質だともいわれる。
 このような永田町政治の在り方に、私たち国民はどういう態度をとったらよいのだろうか。とにかく有力政党が巨大な政治権力を持つことが不幸の始まりになる可能性がある。4割の得票数で7割の議席を占有できる衆議院の小選挙区制が見直しされることもなく、衆参とも与党が絶対多数を占めるならば国会審議が形式的な儀式になる可能性をはらんでいる。
昨年末まで衆議院で多数を占めていた民主党政権が倒れたのは、数に胡坐をかいたためでもある。選挙で多数をとった与党が公約を反故にすることに何の痛みも感じないのであれば、国民は政党や政府を信用しなくなり、選挙で大敗することになる。
 この度の参議院選挙は、こうした見地から、国民の政治意識が正確に反映された議席配分になってほしい。4割の支持率なら4割の議席数で満足すればよいのではないか。無理やり多数になるための政治的工作はあまり聞きたくはない。
 選挙権という最強の手段を持っている国民は、参議院選挙でどういう結果が望ましいのかを考慮し、健全なる議会をつくり出すための判断が求められているのである。