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【2022.11月号】国の制度として18歳までの医療費を無料に

 新型コロナウイルス感染症の影響や円安、諸物価高騰で、ひとり親世帯をはじめ子育て世代の生活困窮や子どもの貧困が深刻化している。コロナ以前から問題となっていた少子化にも拍車がかかっている。しかし国民生活の困難に対する政府の対策は不十分で影響が長期化している。
 子育ての大きな不安の一つに、子どもの 病気がある。子どもは病気にかかりやすく、抵抗力が弱いため重症化することも多い、医療費の心配を無くすことで、早期受診・早期治療を支え全ての子どもの健やかな成長を保障することは益々重要となっている。
 保険医協会・保団連等の医療団体、女性団体等の取り組みで自治体が実施する子ども医療費助成制度は、例えば対象年齢を高校卒業までとする自治体が2010年4月時点で全国で1%程度であったものが10年後の2020年4月には通院で42%、入院で46%となるなど大きく拡充されたが、その制度内容をみると対象年齢、所得制限・一部負担金の有無、「現物給付(医療機関の窓口で負担なく医療が受けられる方法)」と「償還払い(医療機関の窓口で一部負担金を支払ったうえで自治体に申請し後日還付を受ける方法)」の違い等自治体間で大きな格差がある。特に一部負担金はたとえ少額であっても生活困窮世帯では受診の妨げになる。また国は小学生以上の医療費助成を「現物給付」で実施する自治体の国民健康保険について国庫負担を減額するペナルティを行い、子ども医療費の負担軽減をより広げている住民本意の先進的自治体に圧力を加えている。国の論法は「子ども医療費助成制度を手厚くしている自治体は財政が豊かであろうから国からの国保への国庫負担は減らす」ということらしい。子ども医療費助成制度を手厚くしている自治体ほど財政負担が重くなりペナルティを避けるためやむ無く「償還払い」に変更した自治体では受診抑制も発生している。後日還付があるとはいえ一旦医療機関の窓口で支払いが発生し還付手続きの負担もある「償還払い」への誘導は大きなに問題がある。「償還払い」を「現物給付」に改めさせる運動も必要である。
 どこで生まれても、どこに住んでも、全ての子どもに必要な医療が平等に保障されるのは憲法25条に照しても当然であり、そのためには子ども医療費助成制度を国の制度として創設することが求められる。
 今年の10月から2025年5月までの2年半取り組まれる目標100万筆の、保団連も事務局団体として参加する「子ども医療費無料制度を国に求める全国ネットワーク(子ども医療全国ネット)」の「国の制度として18歳までの医療費窓口負担を無料に」請願署名への協力を願いたい。